申出はどこから届くか

基本方針が例示するように、Webに関する申出は「ウェブサイトが利用しづらいので手続を支援してほしい」「電話以外の方法で手続したい」といった形で届きます。問い合わせフォーム、メール、電話、店頭、SNSのいずれからも届く可能性があるため、受け付けた部署がWeb担当へ確実に共有できる経路を用意します。

受付時に記録しておく項目

  • 困っている手続・ページのURLと、どの段階で止まったか
  • 利用している環境(分かる範囲で:端末、ブラウザ、スクリーンリーダーや拡大機能など)
  • 希望する対応(代わりの連絡手段、期限の延長、書類の別形式など)
  • 本人が希望する連絡方法(メール、電話リレーサービス経由の電話など)

障害の内容を詳しく聞き出すことよりも、「何が障壁になっているか」と「どうすれば手続を終えられるか」を確認することが中心になります。

建設的対話で対応方法を決める

合理的配慮は、意思の表明があり、負担が過重でないときに、個別の状況に応じて行う措置です(法第8条第2項、基本方針)。希望どおりの方法が難しい場合も、基本方針は双方の建設的対話を通じて柔軟に対応することを求めています。

よくある申出当面の対応例あとで検討するサイト改善
フォームの入力欄が読み上げで分からないメールで必要事項を受け付ける、担当者が入力を代行するラベルと入力欄の関連付け、エラーの文字表示(フォーム点検)
電話での本人確認ができないメールや電話リレーサービス経由の連絡など代替手段を検討問い合わせ窓口に電話以外の手段を常設
PDFの申請書が読めないテキストやWord形式で送付、内容を口頭・メールで説明HTMLでの案内、PDFのタグ付け(PDFの点検)
画像認証(CAPTCHA)が突破できない別経路で受け付ける認証方法の見直し(WCAG 2.2 の 3.3.8 を参照、新しい達成基準)

基本方針は、電話利用が困難な人から電話以外の手段を求められたのに、メールや電話リレーサービスを介した電話等の代替措置を検討せずに断ることを、義務に反すると考えられる例に挙げています。

断る場合に必要なこと

過重な負担にあたるかどうかは、事務・事業への影響、実現可能性、費用・負担、事業規模、財務状況などを考慮し、個別の事案ごとに判断します(基本方針)。対応できない場合は、その理由を説明し、代わりにできる方法を一緒に探す姿勢が求められます。判断に迷う事案は、法務部門や所管省庁の窓口に相談してから回答します。

対応を記録し、環境の整備へつなげる

基本方針の例では、申出への電話・メール対応が合理的配慮、その後のウェブサイト改良が環境の整備と整理されています。同じ申出が繰り返されるページは、個別対応を続けるより改修したほうが利用者・担当者双方の負担が軽くなります。

  1. 申出の内容と対応結果を、個人情報に配慮した形で一覧にする
  2. 同じURL・同じ部品(フォーム、PDF、認証など)に関する申出をまとめる
  3. 改修の優先度を決め、未対応課題の管理表に載せる
  4. 改修後、方針ページや問い合わせ窓口の案内を更新する

相談先・申込先の選び方

個別事案の扱いに迷うときは、事業を所管する省庁や自治体の窓口に相談できます。内閣府の「つなぐ窓口」は、障害者差別に関する相談を適切な窓口へつなぐ役割を担っています。サイト側の改修を外部に頼む場合は、申出が多いページや部品を一覧にして渡すと、診断や改修の範囲を絞りやすくなります(要件書の作り方)。

ここで示した対応例は、基本方針の例示を参考にした一般的な整理です。個別の事案が義務の範囲に含まれるかどうかは、所管省庁の窓口や専門家にご確認ください。

出典・確認日

確認日:2026年10月12日/参照した公式・一次情報 5件